薯蕷饅頭
薯蕷(じょうよ)とは山の芋のことで、すり合わせた山の芋を練り込んだ生地でこしあんを包み、蒸し上げた上生菓子が薯蕷饅頭です。『上用饅頭』とも書かれることがあり、「上に用いる」という意味で、身分の高い人に献上するお菓子だったことからそう呼ばれるようになりました。様々な意匠で楽しまれる薯蕷饅頭ですが、その中でも大名茶人の古田織部から発祥した織部焼の意匠から影響を受け、織部焼から写し取ったような深緑色のぼかし模様が付いている「織部上用」は特に古典的な上生菓子として好まれます。
慶弔菓子として紅白上用や黄白上用等の認知も高く、俵屋吉冨では季節感を大切にした様々な上用饅頭の生菓子をご用意しております。例えば五月という初夏の候に、若々しい青もみじの葉っぱの静けさと池に広がるさざ波の躍動を重ねあわせ、動静の情景を上用で表現した「新緑」も季節の変化を感じる逸品としてご好評いただいております。また、収穫の季節である十月において、実に連なり垂れ下がる黄金色の稲穂を通じて豊作の喜びをあらわす「みのり」 は、秋を代表する薯蕷饅頭と言えるでしょう。
四季折々の季節に合わせた薯蕷饅頭をどうぞお楽しみください。
四季の薯蕷饅頭

春・爛漫

夏・新緑

秋・みのり

冬・梅一輪