錦玉と同様に、主に夏の生菓子として人気がある葛を使った上生菓子です。寒天の代わりに、採掘された葛の根から作られた葛粉を原材料としています。透明感がありながらも、錦玉よりすこし濁っているように見えるため、少々重さが感じられますが、つるりとした滑らかな舌触りを持ち、絶妙な食感を与えます。
　季節の風物詩を演出するため、染め分けたこしあんを透明な葛で包み込み、視覚的にも楽しめる京菓子に仕上げました。俵屋吉冨では、自然豊かな鹿児島県産の葛を主に使用しています。夏の葛の菓子の定番は、ピンクと緑などの餡を材料とし、花をモチーフとした「水中花」「水牡丹」などなど。また、五山の送り火という行事の情景を現した葛の生菓子「送り火（大文字）」などもお作りしています。限られた季節にしか食べることのできない、特別な葛の生菓子をご賞味しながら、一味違った夏の風情を満喫してみるのはいかがでしょうか？