こなし
関東地方では、薯蕷や求肥を餡に入れてつなぐ「練り切り」はありますが、それに対して、関西地方の「こなし」は、小豆餡や白餡に砂糖を加えて煉ったものに餅粉や小麦粉を混ぜて、蒸籠で蒸し、形を整えたものです。こなしは加工しやすい生地の為、さまざまな形を作るのに適しており、もちもちとした食感で、お茶席でよく使われるお菓子です。俵屋吉冨でお作りしているこなしの数々をご覧ください。
三月、上巳の節句の代表生菓子「引千切」は、さまざまなの色と形の餡を組み合わせることで、雛祭りの祈りと喜びを描き出します。初夏の六月、澄んだ青い水面を飛び出す鮎の姿を描いた「清流」は、夏の躍動を伝えます。ほか、花びらの鮮やかなピンク色を表現した九月の「秋桜」や、冬の白雪が積もる大地にも緑の息吹を感じさせる十二月の「雪間草」などは、形と色彩の表現を大切に仕上げた、俵屋吉冨のこなしの逸品でございます。
俵屋吉冨の京菓子資料館ではお菓子作り体験のご予約を承っております。季節に応じたこなしのお菓子もお作りできますので、召し上がるだけではなく、ご自分の手で季節の感触を表現してみてはいかがでしょうか。(要予約)
四季のこなし

春・引千切

夏・清流

秋・秋桜

冬・雪間草